企業の活用事例

アルゴリズム実技検定を導入された企業の
導入事例をご紹介します。
検定導入の背景や経緯、感想などを
ご参考にしてください。

野村ホールディングス株式会社様


写真右:AtCoder 株式会社 代表取締役社長 髙橋直大

IT、データビジネスと密接な関わりをもつ金融業界のなかでも、高度な定量的分析を担う「クオンツ職」の採用・育成を30年以上も続けてきた野村ホールディングス株式会社。数理的な思考力やスキルだけでなく、新しいモデルを構築するための自由な発想力が求められるクオンツ職の業務経験があるお二人に、今回の検定やアルゴリズムの重要性について伺いました。

  • 野村ホールディングス株式会社
    未来共創推進部 企画調査課
    兼 野村ホールディングス株式会社
    人事戦略部 採用グループ
    兼 野村證券株式会社 人事戦略部
    採用グループ ヴァイスプレジデント
    瀧川 孝幸様

    新規事業開発やそれに付随する企画・調査に従事。

  • 野村證券株式会社
    グローバル・マーケッツ・デジタル・ストラテジー室
    兼 マクロ・トレーディング部 クオンツ開発課
    シニア・アソシエイト
    相澤 比様

    金利・為替に関する金融派生商品の評価モデル分析及び評価システムへの実装を担当。

「金融ビジネスの本質はデータビジネス。モデル化とアルゴリズムを駆使しビジネスを動かすクオンツ人材としてのスキルの可視化のために導入を検討」

Q. アルゴリズム実技検定を導入された背景をお聞かせください。

瀧川様
当社では、統計学や数学、情報科学の手法を用いてモデルの開発やデータの分析を行う専門のチームがあり、社内ではそうしたメンバーを「クオンツ」と呼んでいます。

最近、さまざまな会社で「データサイエンティスト」の採用が積極的に行われていますが、私たちは数理やデータの分析を専門に行うクオンツの採用・育成を30年以上にわたって行っています。当社のクオンツ・チームは国内金融機関の中で最大規模を誇り、業界内でもクオンツ職の採用・育成には非常に力を入れています。

一方で、個人がクオンツとしての数理的な素養を備えているかどうか、という点についてこれまで定量的な基準がなく、その見極めに時間とコストがかかっていました。
そこで、アルゴリズム実技検定がそうしたスキルの可視化に役立つかどうかを検証するために、いくつかの部署の協力を仰ぎながら検定に参加することになりました。

※クオンツとは:英語のQuantitative(数量的)から派生した言葉。金融業界において高度な数学的テクニックを用いて定量的な分析を行うこと、もしくは分析する人、という意味をもつ。

Q. 実際に検定を受験して、いかがでしたか?

相澤様
私は2019年2月頃からAtCoderの競技プログラミングコンテストに参加しているのですが、今回受験したアルゴリズム実技検定は、普段から取り組んでいる競技プログラミングと大枠は同じ内容だったので、特に違和感なく問題を解くことができました。

一方で、通常のコンテスト特有の問題設定はあまり出題されておらず、「プログラミング実技」という視点から、個人のアルゴリズム力や実装力が素直に問われる内容になっていたと思います。

Q. 検定で問われるスキルは、業務において役立つと思いますか?

相澤様
問題設定の理解、ロジックの設計、コーディング、テストという一連のサイクルを素早く回せることは、コーディングを主として働くエンジニアはもちろん、それ以外の幅広いプログラミングスキルを必要とする数理的・分析的業務の助けになると思います。

実施したいことを頭の中で考えてプログラムを使って処理する力や、問題を解くために手段を選び適用する力は、いわゆる「基礎体力・筋トレ」のような、至るところで活用されるベースの知識・スキルではないでしょうか。

クオンツの業務として、たとえば新しい金融商品を開発する際には、それを評価するためのモデルを分析し、システム上で使用できるように実装する必要があります。モデルやアルゴリズム上の開発要件を理解し、プログラミングを用いて素早く実装できる人材がいれば、ビジネス全体を推進するためのリードタイムが短くすることが可能です。

また、モデルの分析が適切でないとそもそも間違った価格やリスク評価につながってしまう可能性があるため、数理的思考力のある人材は会社にとって必要不可欠な存在です。モデルを考察する場合も、計算量が大きすぎるとタイムリーな価格・リスク評価が難しくなってしまう場合がありますが、アルゴリズム上、またはその実装上のテクニックが高ければ、速度と精度を同時に改善することが可能となります。

他にも、業務上で書くコードのバグの数が減るというメリットもあります。普段の実務ではシステムを検証するために、さまざまなケースを用意したテスト環境をもとに検証を行っていますが、計算量が少なくて済むモデルを作ることができれば、商品の品質向上にも繋がると思います。

さらに、今はエンジニアではないトレーダーでも、データを処理して確認するために当然のように簡単なスクリプトを書く時代です。どのような役職でもコーディングやアルゴリズム的感覚は持っていて損はしないと思います。

Q. アルゴリズムは、クオンツ職にとって重要だと思いますか?

瀧川様
金融ビジネスというのは、本質的にデータビジネスであり、そのためITとのかかわりも深い業界だと考えています。例えば、「株式の価値」を提示する際、ある企業がある時期に発行した株式をいくら買ったという電子データの価値は、さまざまな情報をもとに刻々と変わっていきます。一方で、株価の動向をこの方法論によって分析すれば、必ず正しい結果を導き出せるという訳ではありません。あらゆるデータを駆使して、経済や金融市場、あるいは株価などに対して「仮説」を立てて、それをアルゴリズムに落とし込みながら、仮説の正しさを検証していくということが求められます。これは、データサイエンスそのものだと考えています。

また、クオンツ職には、自身で構築したモデルの「説明責任」も問われます。計算して終わりではなく、数理的な説明付けが必要になります。なぜそのモデルが良いのか理解したうえで、周囲に分かりやすく言語化するスキル、そして、最終的にはプログラミングを用いて、数理的な思考をアルゴリズムに落とし込んでいく力が必要とされます。

そうした意味で、クオンツにはアルゴリズムに関する知識が最も求められており、AtCoderのサービスに意欲的に取り組む人にとっては、クオンツの仕事は非常にやりがいのある仕事なのではないでしょうか。

会社情報
野村ホールディングス株式会社
公式サイト:https://www.nomuraholdings.com/jp/top.html
社員数:27,175名
※2019年12月末現在
代表:代表執行役社長 グループCEO 奥田 健太郎

野村ホールディングス株式会社

Page top

AtCoder株式会社について

AtCoder株式会社は、約140,000人(うち日本人約82,000人)が参加登録し、毎週開催される定期コンテストには毎回約5,000人が挑戦する、世界最高峰の競技プログラミングコンテストサイト AtCoder を運営しています。
AtCoder:https://atcoder.jp/

高度IT人材採用・育成事業として、

  1. コンテスト参加者の成績を8段階にランク付けした「AtCoderランク」を利用する転職・求職支援 サービス
    『AtCoderJobs(https://jobs.atcoder.jp/)』
  2. コンテスト参加者への企業向け求人サービス『AtCoderHR(https://jobs-hr.atcoder.jp/)』のサービスを展開しています。